こんにちは。
英語学習について、こんな相談を受けます。
「10年も英語を勉強しているのに話せない」 「TOEICは高得点なのに、会議で発言できない」
「頭では分かっているのに、口から英語が出てこない」
もしかすると、あなたもこんな経験をしたことがあるかもしれません。
多くの人は、この状況を打開するために「もっと単語を覚えよう」「もっと文法を勉強しよう」と考えます。
でも、ちょっと待ってください。
もしかすると、必要なのは「もっと学ぶこと」ではなく、「学習の方向性を変えること」かもしれません。
英語が話せない本当の理由
実は、多くの日本人が英語で躓く根本原因は**「知識不足」であることは少ないです**。
私たちは中学・高校で文法や単語をしっかりと学習してきました。英語ができないと思っていても、案外多くの単語を知っていたり、文法を理解されている方が多いのです。
よくあるのは:
- 「読めば分かるけど、聞き取りができない」
- 「聞けば分かるけど、話せない」
こうした状況に心当たりはありませんか?
問題は、長年の学習で身についてしまった**「翻訳回路」**という習慣にあるのです。
翻訳回路が英語習得の壁になっている
私たちは10年以上も**「英語→日本語」の翻訳パターン**で学んできました。その結果、脳内には「英語を理解するには日本語に訳す」という強固な回路が出来上がっています。
例えば、”I’m excited about the project” という文を聞いたとき:
【翻訳回路のプロセス】
- 「I’m excited」→「私は興奮している」
- 「about」→「〜について」
- 「the project」→「そのプロジェクト」
- 「私はそのプロジェクトについて興奮している」→「楽しみにしている」
この4段階の翻訳プロセスを瞬時に行っています。
一方、英語ネイティブの脳内では: “I’m excited about the project” → 直接的に「期待・楽しみ」の感情が湧く
なぜこれが問題なのか?
時間的な問題: 4段階の処理には時間がかかり、相手が次の文を話し始めると前の文の処理が追いつきません。
認知的な負荷: 2つの言語システムを同時に動かすのは脳にとって大きな負担で、疲労が蓄積し長時間の英語使用が困難になります。
完璧主義の罠: 「文法的に完璧でなければ話してはいけない」「完璧に日本語に訳せない = 理解できていない」という思い込みが、実践での使用を妨げています。
翻訳回路から英語回路への転換方法
英語回路とは?
英語を日本語に翻訳せずに、英語のまま理解・表現できる思考パターンのことです。
私たち日本人にはもともと英語回路は存在しませんが、適切な練習で翻訳に頼らない新しい回路を育てることができます。
3つの転換方法
1. 翻訳なしの理解練習
- 英文を読むとき、日本語に訳さずにイメージで理解する
- YouTube で興味のある分野の英語動画を英語字幕で視聴
- 完璧に理解できなくても「なんとなく分かった」で進む
2. 即座のアウトプット練習
- 新しい表現を覚えたら、その日のうちに3回使ってみる
- 朝の5分間、今日の予定を英語で考える習慣を作る
- 一人でも良いので、声に出して英語で話す時間を毎日作る
3. 完璧主義を手放す
- 「伝わればOK」の基準を採用する
- 文法の間違いを恐れず、まずは表現することを優先
- 「ネイティブレベル」ではなく「ビジネスで通用するレベル」を目指す
変化は必ず訪れます
回路の転換は、最初は違和感があるかもしれません。これまで無意識に行ってきた「英語を日本語に変換する」作業を行わないことで、逆に「もっと英語がわからなくなった」と感じるかもしれません。
でも、この英語回路を鍛えていけば、必ず英語を日本語に翻訳しなくても理解できるようになる時が来ます。
- 英語を聞いたとき、日本語を経由せずに内容が頭に入ってくる瞬間
- 言いたいことが、日本語で考える前に英語で口から出てくる体験
- 英語で話しているとき、「あ、今英語で考えている」と気づく瞬間
こうした継続を積み重ねていくことで、変化を実感できる時が来ます。
最後に
もし今、英語の伸び悩みを感じているなら、それは「努力が足りない」ことが理由ではないかもしれません。
「学習の方向性を変える必要がある」タイミングなのかもしれません。
長年身についた翻訳回路から新しい英語回路への転換は簡単ではありませんが、一度英語回路が育ち始めると、学習効率は飛躍的に向上します。
明日から、いえ、今日から少しずつでも構いません。新しいアプローチで英語と向き合ってみてください。
日々の継続によって、あなたの中に新しい「英語回路」が育つ日は、きっとそう遠くありません。